相続登記の義務化はいつから?2024年からしていないと10万円の過料に

未登記建物・相続登記

2024年から「相続登記」の義務化が施行され、違反した場合、罰則(過料)が適用されます。相続について考えたとき、多くの人が直面する可能性があるのが「相続登記」です。しかし、これまで相続に関わった経験がない方にとっては「どうやって手続きしたらいいのだろう」「登記って自分でできるの?」といった疑問に対し、相続登記の義務化について内容を紐解き、手続きの基本的な流れ、さらには専門家への依頼や自分で登記申請を行う際の注意点まで、幅広く解説します。

相続登記とは

相続登記とはその名の通り、相続によって不動産(土地や建物)の所有者が移転したことを登記する手続きを指します。具体的には、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産の名義を、相続人の名義に書き換える作業を指します。

相続によって自分に所有権が移転したことを、法的に明確にし、不動産取引を公正かつ透明に行うために重要な役割を果たします。つまり、登記された情報は、第三者に対してその事実を証明する力を持ちます。また相続した所有権は、この登記によって自身の所有権を明確にし、法的保護の対象となります。

しかし、登記の手続きはとても広い範囲で専門的な知識が必要となり、難しい言い回しの法的な文言や書類作成など、難易度が高いと感じるでしょう。以上から専門家に依頼するべき理由も少なくありません。

登記手続きは遺産分割協議が終了した後に行うのが一般的で、相続人全員が一致した上での手続きとなります。相続人間で意見が対立すると、登記の手続きがスムーズに進まず、最終的に未登記のままにしてしまいがちです。そのため、事前にしっかりと遺産分割協議を進め、全員が納得のいく内容になるよう努力が重要となります

2024年から相続登記が義務化

法改正により、日本では相続登記が2024年から義務化されます。

それまではこの登記手続きは任意で、被相続人(亡くなった方)名義のままになっている不動産、いわゆる”相続者不明土地”が増え続ける問題がありました。これは、相続人が明らかでないために公共事業や災害復旧、土地取引が難しくなる社会的な問題を引き起こしていました。

この義務化の目的は、主に2つあります。一つは、相続人の確定と所有権移転の透明性を高め、相続者不明土地の増加を防止すること。もう一つは、相続財産の適正な管理と利活用を促進することです。

具体的には、被相続人(亡くなった方)が所有していた不動産の名義を相続人の名義に書き換えることで、誰が法的な所有者であるかを明確にします。これにより、開発や不動産の売買などが円滑に進められるようになります。

また、罰則や登記の義務化で、自分自身の所有権を再確認し、適切な管理が求められます。これにより、空き家の増加を防ぐとともに、不動産が有効に活用されることが期待されています

相続登記をしていないと過料10万円の罰金

2024年の法改正により、相続による所有権の移転登記を行わないと10万円の過料が課せられることになりました。この制度の導入により、忘れずに登記する重要性が一層強調され、その遵守が法的にも強く求められるようになりました。

この制度は、法的な義務を怠った相続人に対する懲罰となるだけでなく、登記を忘れがちな相続人に対する効果的な思い出し役となります。

罰金制度の導入は、相続人が法的な手続きを適切に行うことを強く促し、不透明な相続状況を改善するための一環です。一見、厳しく感じられるかもしれませんが、この登記手続きを怠ることによる問題(所有権の不明瞭さや相続者不明土地の増加など)を未然に防ぐ意義があると考えられます。

この罰金制度を避けるためにも、相続が発生したら迅速に登記の手続きを進めることが求められます。また、相続の登記手続きは複雑であるため、専門家の助けを借りることも検討してみてください。

相続登記の手続きの仕方

手続きの一連の流れを紹介します。

基本的に以下のステップで進行します。

1.相続の開始を証明するため、亡くなった人の戸籍謄本(死亡の記載があるもの)を入手します。

2. 相続人全員の戸籍謄本と必要書類をそろえ法務局にて「法定相続情報証明」手続きをおこないます。(任意)

3.不動産の登記簿謄本を取得し、相続財産を確認します。

4.相続登記申請書を作成し、必要な書類とともに最寄りの法務局へ提出します。

相続した建物が登記済みのとき

相続した建物が既に登記されている場合は、所有権の移転登記が必要です。具体的には、不動産の所有者が亡くなったとき、その所有権を相続人に移すために行われます。

相続登記は、通常、遺産分割が完了した後に行われます。まず、相続人全員が集まって遺産分割協議を行い、不動産の分割方針を決めます。その結果は遺産分割協議書として文書化されます。

次に、遺産分割協議書をもとに、所有権移転登記の手続きを進めます。登記申請書を作成し、必要な書類をそろえて法務局に提出します

最後に、法務局が申請書と添付書類を審査し、問題がなければ登記が完了します。この手続きによって、相続した不動産の所有権が正式に相続人に移されます。

所有権移転登記は法的に義務づけられていますが、相続人が適切な手続きを怠ることが多いです。しかし、適切な手続きを行わないと、自分が権利を持つ所有者だと確定せず、将来的に不動産の売却や抵当権設定などで問題が生じる可能性があります。

したがって、相続が発生した場合は、できるだけ早く所有権移転登記の手続きを行うことが重要です。

相続した建物が未登記のとき

相続した建物が未登記の場合は、建物登記を新規で行う必要があります。

具体的には、初めての建物登記では「建物表題登記」と「所有権保存登記」の2つを相続人が行います

建物表題登記は、建物の詳細な特定情報を建物そのものの存在を登録する登記です。申請書類や関連書類を正確に作成し、法務局に提出します。ここで注意すべきは、この登記では権利が確定しないことです。

所有権保存登記は、その建物の所有権者を届け出る登記です。法律的な登記義務はありませんが、この登記をしていないと二重譲渡などでトラブルになる可能性があり、権利を主張することが困難になります。

登記申請後、法務局で建物の登記手続きが進行され、法務局が提出された書類を審査し、登記の可否を判断します。審査には一定の時間がかかることがありますので、手続きの進捗状況を確認しましょう。

建物が未登記の場合は、登記手続きを行うことで所有権を正式に確定させることが重要です。専門家の助けを借りることで、適切な手続きを行い、建物の登記をスムーズに進めることができます。

登記手続きは正確かつ時間を要する場合があるため、早めに対応することをおすすめします。

自分で相続登記の申請が難しい場合

相続による登記の申請は、法的な情報を得て手順を踏めばご自身でも手続きは可能です。

しかし、多くの相続人がいたり、相続財産が複雑な状況だったりすると、この手続きは頭を悩ませるものになることでしょう。そのような状況にある方は一人で全てを把握し、正しく進めるのは大変な作業です

そこで、専門家の助けを借りることが有効な選択肢となります。自分で登記申請を行うための学習、登記申請支援サービスの利用など、いくつかの手段があり、これらの選択肢にはそれぞれ独自のメリットがあります。

・専門家へ依頼する方法

弁護士、司法書士、土地家屋調査士が主な依頼先となりますが、相続による登記の申請がスムーズに進むだけでなく、相続人全員が納得できるような透明な手続きをサポートしてくれます。

彼らは法的な手続きに精通しており、困難な問題も適切に解決してくれるため、頭を悩ませることなく登記手続きの進行面でメリットがあります。

登記申請支援サービスを利用する方法

登記申請支援サービスを利用すると、専門家の助けを借りつつ、自分で手続きを進めることができます。このサービスは、申請書類の作成や提出など、登記申請に必要な作業をサポートしてくれるとともに、費用面でメリットがあります。

専門家への依頼

相続登記の申請代行を主に行っているのは弁護士、司法書士、土地家屋調査士です

相続登記に関する法的な知識や手続きについての情報を提供し、疑問や懸念を解決するための相談に応じます。また、相続登記に関する状況や法律の理解において役立つアドバイスを提供します。

相続登記とは、一般的に所有権移転登記を指しますが、申請代行ができるのは弁護士、司法書士になります。

未登記建物を相続する場合は、表題登記は土地家屋調査士、所有権保存登記は弁護士、司法書士になります

書類作成では、登記手続きに必要な書類を渡すことで作成してくれます。

具体的には、専門家は法に従った業務を担い、登記申請書や遺産分割協議書などの書類を適切に作成し、必要な情報や要件を満たすようにします。

手続き代行では、登記申請書や関連する書類の提出、法務局とのやり取り、手続きの進捗状況の確認などが含まれます。専門家は手続きを効率的に進めてくれます。

さらに、専門家は、相続登記に関する法的な問題の解決にも取り組みます。相続登記にはさまざまな法的な問題や障壁が生じることがありますが、専門家は法的な観点から問題を分析し、適切な解決策を提案します。また、紛争や争いごとが発生した場合には、専門家が交渉や調停に参加し、依頼者の権益を守るために努力します。

専門家の役割は、相続登記手続きのスムーズな進行と依頼者の利益保護に貢献することです。彼らの専門知識と経験により、法的手続きや複雑な問題に対処する際に助けを受けることができます。相続登記に関しては、専門家のサポートを活用することで、依頼者は負担を軽減し、効果的な手続きを進めることができます。

登記申請支援サービスを利用する

登記申請支援サービスを利用するという選択肢もあります。これは相続登記の本人申請手続きにおける書類作成 業務を代行支援するサービスです。以下にその主な特徴とメリットを解説します。

登記申請支援サービスの役割は、相続登記の手続きに関する知識を持っているスタッフが状況を確認し、相続登記に必要な書類の作成代行、手続き方法を指南することでスムーズは進行と簡単に相続登記を完了できるように支援するサービスです。住所や氏名など最低限の完成作業が必要ですが、法的知識を悩む時間や学ぶ労力、図面作成で諦める必要はありません。

相続登記に関しては、登記申請支援サービスを活用すれば簡単な作業で書類を整えることができ、後は法務局に登記申請書類一式を持参するか、ポストへ投函するだけです。

節約したい方、自分で登記を行いたい方、手間はかけたくない方にお勧めする新しい相続登記本人申請の手法です。

まとめ

この記事では、相続した不動産が未登記だった場合に登記をしないと科される過料10万円について説明しました。登記することで、自分自身の所有権の確定と、相続の透明性を確保する重要な手続きであり、適切に行うことが必要です

相続登記の申請手続きは法的知識と綿密な準備を必要とします。それは一人で行うには非常に難易度が高いかもしれませんが、さまざまな支援の手段が存在します。

専門家への依頼や登記申請の支援サービスを活用することで申請手続きがスムーズに行えることを解説しました。

しかし、それぞれにはコストと時間、労力から見てメリットとデメリットが存在します。自身の状況、時間、費用、そして何より精神的な負担を考慮に入れて、最も適した手段を選ぶことが重要です。

相続登記は、あなたの財産と権利を守るための重要な一歩です。新たに設けられた法律を理解し、正しい手続きを遵守することで、あなたとあなたの大切な人々の権利を守りましょう

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