表題登記の図面の書き方を徹底解説。手書きやエクセルなど使えるテンプレート付

建物表題登記

表題登記は専門家に依頼せず、自分ですることができます。未登記の建物が多く問題となっている現在、一般の方が自分で表題登記することを国も歓迎しています。ただ、自分で表題登記をするとき大きなハードルとなるのが、登記申請時に添付する図面の作成です。そこで今回は、表題登記の図面の書き方についてお話ししたいと思います。


建物表題登記に必要な図面の種類

表題登記の申請に際しては、「建物図面」と「各階平面図」を添付します。建物図面は、建物の形状と大きさ、敷地と建物との位置関係を示す図面です。そして各階平面図は、建物の各階の形状、床面積および求積方法を記載した図面です。

申請に際して一般的には建物図面と各階平面図を1枚の用紙に書いて提出します。

表題登記は公的なものですから、登記に際して規則が定められています。これを不動産登記規則といい、建物図面と各階平面図については不動産登記規則81条~83条に記されています

法律の文章は、一般の文章と違って読もうとするとまず難しさが先に立ち、「面倒くさい!」となりがちですが、表題登記を行うには規則をしっかり知っておくことが大切ですから、面倒でも目を通しておく必要があります。

まず、81条には、「建物図面及び各階平面図は、一個の建物(附属建物があるときは、主である建物と附属建物を合わせて一個の建物とする。)ごとに作成しなければならない」とあります。附属建物とは、主である建物(住居)のほかの建物、例えば物置や車庫のことです。

そして、建物図面については82条に次のように記されています。

1.建物図面は、建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない。

2.建物図面には、方位、縮尺、敷地の地番及びその形状、隣接地の地番並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

3.建物図面は、五百分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

不動産登記規則第82条

各階平面図については83条に次のように記されています。

1.各階平面図には、縮尺、各階の別、各階の平面の形状、一階の位置、各階ごとの建物の周囲の長さ、床面積及びその求積方法並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。

2.各階平面図は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。

不動産登記規則第83条

ここにある「求積方法」を記録するとは、どのような計算で床面積を導いたかを記載するということです。

ごくおおまかにいえば、建物図面は建物が建っている敷地と建物の1階の形状・大きさを500分の1の縮尺で示す、そして、各階平面図は各階ごとにその形状や大きさを250分の1で示すということになります

建築表題登記で重要な図面の書き方

では、建物図面、各階平面図の書き方を見ていきましょう。

図面の書き方にも不動産登記規則で定められた規則があります。不動産登記規則74条には、建物図面、各階平面図の作成について次のように記されています。

1.建物図面及び各階平面図は、〇・二ミリメートル以下の細線により、図形を鮮明に表示しなければならない。

2.前項の土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図には、作成の年月日を記録し、    申請人が記名するとともに、その作成者が署名し、又は記名押印しなければならない。

3.建物図面及び各階平面図は、日本産業規格B列四番の丈夫な用紙を用いて作成しなければならない。

不動産登記規則74条

用紙について

まず、「3.」についてですが、「日本産業規格B列四番」というのは、つまりB4の用紙ということです。そして、「丈夫な用紙」とは、例えばケント紙のような厚い用紙でなければならないということではありません。いわゆる「わら半紙」のような用紙ではなく、一般的に「上質紙」とされる用紙です。もし不安であれば、日本法令から「建物図面・各階平面図」が出ていますから、入手するのもよいでしょう。インターネットで検索すれば、すぐに出てきます。

用紙のレイアウト

日本法令の用紙、また、インターネット上には建物図面・各階平面図のテンプレートを提供しているサイトもあり、それらを見れば分かりますが、用紙の左側に各階平面図、右側に建物図面を書くようになっています。

そして、用紙の上部には「家屋番号」「建物の所在」を記載する欄があります。また、用紙の下部左側に「作成者」の氏名、作成の年月日、押印の欄と「縮尺」を記入する欄があります。そして、右側に「申請人」の氏名を記載する欄と「縮尺」の欄があります。

これらは非常に大切な欄です。B4の白紙を用意して図面を作成することもできますが、その際この記載欄を忘れずに設けましょう

線の太さ

線の太さは、「建物図面及び各階平面図は、〇・二ミリメートル以下の細線により」とあります。つまり、0.5mmや0.7mmのシャープペンやボールペンは使えないということです。インターネットで「製図ペン 0.2mm」と検索すると、0.2mmの製図用のペンが見つかります。

建築表題登記図面は手書きでもOK。cad、Excelも

さて、建物図面、各階平面図ともに定規とペンを使った手書きで作成してもいいですし、パワーポイントやエクセル、また、CADアプリを使ってパソコンで作成することも認められています

ただし、上で見た、用紙はB4サイズ、線の太は0.2mm以下、建物図面の縮尺1/500、各階平面図は縮尺1/250という規則に則ったものでなければなりません。「建物の所在」や図面「作成者」の住所氏名欄なども必要です。

では、図面の作成方法を見ていきましょう。

各階平面図

基本的には、用紙の左側のスペースに各階平面図を縮尺1/250で書きます。各階平面図で書いた建物1階の形状を1/500の縮尺に変換して、右側の建物図面の敷地上に乗せるのが合理的な方法だからです。

なお、各階平面図は各階の間取りを書くのではなく、各階の形状、言い換えれば各階の外枠を示すものです。注文住宅であれば確認申請図面を参考に作成します

ごく単純に1階の形状を下図のようにしてみます。

 

この場合、薄い灰色の部分(A)を縦×横で計算式を記載。

次いで、濃い灰色の部分(B)を縦×横で計算式を記載。

そして、この2つの計算式、つまり「求積方法」の下に、2つの計算式で出した値を合計して床面積を記載します。床面積は、小数点第三位以下は切り捨てます。

2階の形状を下図のようにしてみます。

実線で2階部分の形状を示すだけではなく、1階の形状を点線で示します。

そして、2階の床面積の計算式、つまり、求積方法を記載。

計算式で出した床面積を記載します。(小数点第三位以下は切り捨て)。

建物図面

建物の敷地の形状、方位、敷地の地番、隣接地の地番、そして敷地内の建物の形状、位置関係を表します。

建物が建っている敷地の形状や隣接地、隣接地の地番などは公図を見ればわかります。法務局で有償ですが取得できますので参照しましょう

次に、建物が建っている敷地の中に、建物の1階部分の形状を書きます。各階平面図で書いた建物の1階の形状を図面に落とし込むかたちになります。

その際、敷地内の建物の位置を明示しなければならないため、現地での調査が必要になります。巻き尺などで敷地の境界線から建物の外壁までの距離を測ります。建物図面に記載する距離はメートル単位ですが、少数第二位まで表示することになっています。そのため、例えば「2.35m」というようにセンチメートルまでを記載します(敷地の境界線から建物まで距離がある場合、1、2cmの誤差に神経質になる必要はありません)

ただ、敷地上の建物の位置を正確に示すため、計測は2カ所から行います。建物図面には、敷地境界線からの距離を2カ所以上で記載することになっているからです。

注意点

さきに建物図面、各階平面図には「家屋番号」「建物の所在」、そして「作成者」「申請人」の氏名などを記載する欄があることをお話ししましたが、このうち「建物の所在」は、建物が建っている敷地の地番のことで、一般的な住所と必ずしも同じではありません

地番は法務局で確認できます。

(家屋番号は、表題登記がなされて付与されますので、表題登記申請前には確認するとこはできません)

建築表題登記図面のテンプレート一覧

一般の方でも、建物の表題登記を自分でする人は多くいます。自身の体験から図面の作成方法やテンプレートをインターネット上で公開している人も少なくありません。また、表題登記の専門家である土地家屋調査士事務所で、図面のテンプレートをダウンロードできるようにしているところもあります。参考になるサイトをいくつかご紹介しましょう。

手書きの場合

自分で登記.com

自分で登記.com

表題登記の図面を書いてみる注文住宅

表題登記の図面を書いてみる注文住宅

自分で登記してみた。〜図面の描き方〜

ロジカルに生きる

エクセル

新築登記.com

新築登記.COM

パワーポイント

自分でする建物表題登記

自分でする建物表題登記

CAD

自分で不動産登記 (3)建物表題登記用図面の作成

Do It Ourselves! それ自分でやってみたら

まとめ

表題登記で必要になる建物図面、各階平面図の書き方を見てきました。表題登記は公的なものですから図面の書き方には規則があります。用紙はB4、建物図面の縮尺は1/500、各階平面図は1/250、線の太さは0.2mm以下などですが、申請人、作成者の住所氏名の記載なども忘れてはなりません

図面作成の参考になるサイト、用紙をダウンロードできるサイトもいくつかご紹介しましたが、自分で表題登記をする場合、試行錯誤はつきもののようです。

建築事業者からもらった建築書類を提供するだけで、表題登記に必要な申請書や図面の、試行錯誤する部分を仕上げてくれる支援サービスがあります。

自分ですることは必要事項(住所や署名)と押印だけで申請書が完成します。

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