表題登記の費用相場を徹底解説。自分で申請と専門家依頼の違い、計算方法も

建物表題登記

家を新築したときには1カ月以内に建物の表題登記をしなければなりません。しかし、その際気になるのは費用です。そこで、表題登記を専門家に依頼した場合の費用相場を見てみましょう。また、表題登記は自分ですることもできます。自分で登記申請した場合の費用はどのくらいになるでしょう。表題登記の費用について詳しくお話ししたいと思います。

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表題登記の費用内訳

表題登記を第三者に委任するときは、土地家屋調査士に依頼することになります。その際発生する費用は2つに分けることができます。1つは土地家屋調査士という表題登記の「専門家へ報酬」、そして、もう1つは「実費費用」です。

専門家への報酬とは、つまり、その業務に対する報酬です。そこで、まず土地家屋調査士の業務を把握しておきましょう。土地家屋調査士法には、次のように示されています。

「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする」。

そして、その第三条(業務)には「調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする」とあり、1~3項には次のように記されています。

・不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
・不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
・不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局
 又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(中略)の作成         

土地家屋調査士法第三条1~3項

つまり、専門家への報酬とは、調査業務、測量業務、書類作成、登記申請に対する報酬であり、「実費費用」とは各業務を行うために必要な交通費、通信費、収入印紙代、境界杭費用などになります

表題登記の費用

表題登記の費用相場を見てみましょう。

専門家に委任した場合

インターネット上には、土地家屋調査士のページが多数あり、費用も示されています。ただ表示の仕方は、「一般的な住宅の場合」と但し書きをつけて「9万円」としたり、「2階建、延床面積100㎡を基準」というように階層、床面積を示して「8万5000円」。あるいは「普通の一戸建て(3階まで)」として「9万円~」、「4階建て以上」として「約10万~14万円以上」とするなど、料金に幅を設けていますし、各事務所によって料金の設定方法も異なっています。

さらに、表題登記の費用は地域によっても違いがあります。日本土地家屋調査士連合会の資料によれば、報酬額の平均値が最も低い中国圏では7万9405円、それに対し最も平均値が高い近畿圏は9万239円となっています(令和元年度「土地家屋調査士業務報酬に関する調査」)。

こうしたことから表題登記を専門家に委任した場合の費用について、一概に「◯◯円」とすることはできません。ただ、一応の目安としては11万円~15万円程度を見込んでおくとよいでしょう。日本土地家屋調査士連合会の資料でも、登記費用は最低4万円~最高14万5000円と大きな幅があります。

自分で申請する場合

表題登記は、土地家屋調査士に委任せず、自分ですることができます。自分で表題登記を申請した場合、費用はどのくらいになるでしょう。その点を知るために、表題登記に関する土地家屋調査士の業務内容をもう少し詳しく確認しておきましょう。

1 調査業務
表題登記の資料となる書面や図面の調査を行います。建築確認書など依頼する側が用意するものもありますし、法務局から有料で取得する公図や地積測量図などの調査も必要になります。

②測量業務
資料調査の結果を踏まえ、現地において測量・調査を行います。

③書類作成
表題登記に必要な書類や建物図面・各階平面図を作成します。

④登記申請
必要書類一式を整え、登記申請書を作成し、法務局へ登記申請します。申請後の登記官による現地調査がいつ行われるかにもよりますが、登記完了までは登記申請日から1週間~2週間程度必要です。

表題登記を自分でするということは、上の①、③、④の業務を自分で行うということです。そのため「専門家への報酬」は発生しません。ただ、①、③、④を行うための交通費、書類の取得費、書類コピー代などの「実費費用」だけかかることになります。(②測量業務については、敷地境界線から建物までの距離を測る程度の作業が必要になるケースもあります)。

自分で表題登記を申請する際の流れ

では、「実費費用」について、自分で表題登記をする際の流れに沿ってチェックしてみましょう。

【1.工務店など建築施工会社に連絡】
表題登記を自分でしたい旨を工務店など建築施工会社に伝え、了解を得ます。工務店など建築施工会社は、土地家屋調査士の事務所を指定しローンに委任費用を含む場合が多いからです。最初に伝えることで、必要書類の入手等がスムーズに進みます。

【2.法務局に相談する(交通費が発生します)】
建物の所在地を管轄する法務局に連絡し、その後、法務局に出向いて相談。登記に必要な書類や図面の書き方などを教えてもらいます。

【3.必要書類の取得(取得費が発生します)】
必要書類には、自分で取得するものと建築施工会社から受け取るものがあります。
■自分で取得する書類
・住民票(350円程度)

■建築施工会社から受け取る書類(郵送費が生じる場合あり)
・建築確認書
・所有権証明書(工事完了引渡証明書、譲渡証明書兼未使用証明書)
・所有権証明書記載の建築施工会社の印鑑証明証

なお、建売住宅を購入した場合は、次の書類が必要になります。

1 販売会社が建築会社に建築依頼→建築会社から販売会社への譲渡証明書が必要
建築申請するときの依頼者が販売会社で、請負人が建築会社だからです
2 販売会社が一般人に販売する時に、販売会社から一般人への所有権証明書が必要
登記申請する時に①②が必要なので、建築会社と販売会社の印鑑証明書が必要です。

注文住宅の場合は②のみになります。理由は、建築申請の時の依頼人が一般人だからです。

【4.現地調査(交通費が発生します)】
隣地との確認など現地調査。

【5.書類作成(用紙、ペン代など多少費用が発生します)】
自分で作成する書類は次のようなものになります。

■自分で作成する書類
・登記申請書
・建物図面、各階平面図
・案内図
・原本還付請求一式

表題登記の申請書は、法務局からテンプレートが提供されていません。ネット上で探し、ネット上のサンプルをもとに自分で記載します

建物図面、各階平面図の作成は、自分で表題登記をする際、一番大変なところになるでしょう。用紙はB4サイズ、図面の線は0.2mm以下など、さまざまな規則があります。

用紙にペンで描く場合は用紙代、ペン代がかかります(パワーポイントなどでの作成もOKです)。案内図については、グーグルマップを切り取るなどで対応が可能ですが、正確を期すために公図を取得する場合、取得費がかかります

【6.登記申請(コピー代が発生します)】
申請に必要な書類を揃え、法務局へ登記申請します。
確認申請書など原本還付を請求する書類はコピーを提出します。そのためのコピー代が発生します。

【7.登記官による調査】
法務局の登記官による現地調査。(調査に立ち会う場合は、交通費が発生します)。

では、ここまでチェックした実費費用を計算してみましょう。
法務局への相談などで交通費が発生しますが1000円~程度。書類取得費は住民票が350円程度。建築施工会社から図面や提出書類を取り寄せる必要があれば郵送費が多少発生します。また、用紙代やペン代、書類のコピー代もかかりますが、用紙やペン代で1000円~、コピー代はコンビニで10円~。全体として自分でする場合の実費は数千円~1万円程度というところでしょう。

ちなみに法務省の「不動産登記、商業・法人登記における主な登記手数料」は次のようになっています。

 区分手数料額
登記事項証明書(謄抄本)書面請求600円
オンライン請求・送付500円
オンライン請求・窓口交付オンライン請求・窓口交付480円
登記事項要約書の交付・登記簿等の閲覧450円
証明(地図・印鑑証明を除く)450円
地図等情報(※2)書面請求450円
オンライン請求・送付410円
オンライン請求・窓口交付390円
印鑑証明書書面請求450円
オンライン請求・送付410円
オンライン請求・窓口交付390円
筆界特定筆界特定書の写し(※1)550円
図面の写し450円
手続記録の閲覧400円
登記識別情報に関する証明書面請求300円
オンライン請求・交付(※) 
本支店一括登記申請 300円300円
法務省「不動産登記、商業・法人登記における主な登記手数料」

表題登記を専門家である土地家屋調査士に依頼した場合と自分でする場合を比べると、自分でする場合は「実費費用」のみですから、費用は大幅に抑えられます。(表題登記に登録免許税の課税はありませんので、登録免許税は0円です)。

ただ、自分で表題登記する際の作業にかかる時間を考えるとどうでしょう。

例えば、法務局への相談などに「往復の時間+相談時間1回1時間」として、それが4回あれば計4時間、建物図面・各階平面図の作成に2~4時間、添付書類のチェックなどに1時間、原本還付請求に必要な書類のコピーや製本に2時間(ページ数が多い書面は、製本テープで製本して、割り印します)。

このほかに表題登記について本やネットで調べ理解するまでの時間、書類や図面などをチェック・確認時間なども含めれば、作業時間は増えていきます。提出した書類に不備があればやり直しということもあります。

ごく単純に「時給=手取り月給÷(勤務時間+残業時間)」で計算し、表題登記を自分でした場合の時間を掛けて、果たしてそれで「費用が大幅に抑えられた」となるかどうか、判断は難しいかもしれません

また、法務局へ相談できるのは平日に限られています。肉体的な疲れや精神的な疲労も考える必要があるでしょう。


表題登記の費用計算と変動要因

さきに土地家屋調査士に表題登記を委任する場合の費用についてお話ししましたが、費用の主な変動要因は、建物の階層、床面積、そして、申請書作成の難易度といえます。

例えば、2階建ての建物と8階建ての建物では、測量・調査、また、建物図面・各階平面図の作成にかかる負担も違ってきます。

難易度というのは、建物の表題登記は新築物件に限らず、築年数の経った未登記の建物の登記もあります。こうしたケースでは建築時の資料が残っていないことも多く、そのため登記申請に必要な書類を揃えるのが難しく、日数もかかり費用も高くなります。また、古い土地で、土地の境界が曖昧である場合、その調査・測量、さらに隣地所有者の境界立会いなどが必要であれば、費用はかさむことになります。

多くの土地家屋調査士事務所が、表題登記の料金について「一般的な住宅の場合」、あるいは「1つのケースです」「物件ごとに異なります」といった但し書きをつけているのは、業務の実際に即したものといえるのです。

なお、建築施工会社などで土地家屋調査士を紹介するケースもありますが、この場合、費用が割高になる傾向があります。その理由としては、紹介料、いわゆる中間マージンが生じているためと考えられますが、土地家屋調査士の事務所を調べ、選択する手間が省けるメリットがあるともいえます。

もし、一般的な住宅で土地の区画も明確であり、表題登記を自分でしたいとお考えなら、表題登記の自己申請を支援するサービスを利用されることをおすすめします

「住Myの建物登記自己申請」では、建物表題登記申請に必要な書類のリスト、建物図面や各階平面図の用紙、その作成方法、法務局が提供していない登記申請書の雛形などを用意し、登記完了までサポートします。依頼料金は発生しますが、なにもかも自分でする場合に比べ作業時間を大幅に短縮できますし、無理なく、自分で表題登記をすることができます。

さきに自分で表題登記をする際の一般的な流れをご紹介しましたが、この支援サービスを利用した場合、法務局に連絡し、法務局が相談可能な平日から相談日を決めて、法務局に出向くという手間もかかりません。また、不動産登記の専門知識を有するスタッフのサポートを受けながら申請準備を進めますから、忙しい毎日を送る方にとっては、調べる時間も悩む時間もなくスムーズに申請書類が作成できることは『費用と時間の節約』につながる大きなメリットではないでしょうか。

まとめ

表題登記の費用について、その内訳や土地家屋調査士に依頼した場合の費用相場、自分でする場合との比較などについてお話ししてきました。

表題登記にかかる費用の内訳は、専門家への「報酬費用」と「実費費用」です。専門家である土地家屋調査士に委任した場合、費用は11万~15万円程度を見込んでおく必要があります。物件、地域ごとに、また、土地家屋調査士の事務所によって費用は異なるからです。費用の変動要因としては、建物の階層、床面積、そして、難易度をあげることができます。

表題登記を自分でする場合に想定される費用は、数千円~1万円程度です。自分で登記申請すれば費用を大幅に抑えることができます

しかし、登記完了までの作業時間を考えれば、大幅に費用を削減できたといえるかどうか判断は難しい、という点もお話ししました。

表題登記を自分でするメリットを確かなものにするには、表題登記の自己申請を支援するサービスを利用されることをおすすめします。

申請にはどのような書類が必要になるか、書面や図面はどのように作成すればよいか、適切なアドバイスに沿って作業を進め、無理なく、しかも確実に表題登記を完了させることができます。表題登記を自分でしようとお考えの場合、表題登記の自己申請支援サービスは大きな力になってくれるサービスです。

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